酒飲みたくないしタバコやりたくないしsexしたくないしお父さんとお風呂に入りたい
「子供じゃないんだから」は悪魔の言葉だ。
ついこの間まで中学生だった気がするのに
気がついたら成人してしまった。
かつて一緒にコロコロコミックを読んでいた男友達は
彼女ができて、昨日もツイッターに写真を投稿していた。
その彼女との関係はというと
「まーじでらぶい。一生モン。」らしい。
幸せそうで何よりである。
一緒に夢を語り合った高校の友人は
二十歳の誕生日に、酒を飲んだ。
感想はというと
「ほんと最高。もうコレないとやってらんない。」
楽しそうで結構なことだ。
結構なのだが、
「お前も早くこっちへ来いよ」と言った意味合いの
お誘いを受ける度に心がもやっとする。
私は二十歳を超えても、今だに
酒もタバコも性交渉もしていない。
「お前いっつも悩んでるじゃん。
酒飲むとパーっと忘れて気分いいよ。」
飲み会でそんなことを言われたことがある。
しかし私の苦しみを、憎しみを
酒なんかに誤魔化されてたまるものかと
私のちっぽけなプライドが許さないのだ。
「寂しいなら彼氏でも作りなよ」
そうじゃない。
私は性行為を前提とした
人間との付き合いなんて絶対に嫌なのだ。
私はただ、お母さんやお父さんに甘えたい。
お母さんを抱きしめて肌の匂いを吸い込んだり
お父さんと一緒にお風呂へ入ってポケモンの話をしたり
眠れない夜は背中をぽんぽんと揺すってあやして欲しい。
それを少しでもこぼそうものなら飛んでくる言葉は
「子供じゃないんだから。」
「大人になれよ。」
「いい加減、今何歳よ?」
この三つ。
私は聞きたい。
大人になるって、何?
自分は子供でも大人でもなく、
生まれた瞬間から''自分''でしかなくて
ただ、ずっと私が私のまま生きているだけなのに。
「子供じゃないんだから」って言われるのは
恥ずかしいことなんだって認識はある。
でもそれを利用して素の''自分''を
大人の潮流によって変えられてしまうのは
それ以上に気にくわない。
一定の年齢を超えると突然、
「大人らしい振る舞い」だとか
「大人の嗜み」とか、
「大人の付き合い」とか
「子供じゃないんだから」と言って、
いろいろなことを強要される。
高校時代、一緒に「いつか作家になったら個展を開くんだ。」
と共に語り、りんごジュースを分け合った仲間が毎晩
「今日も飲む!」とかいうツイートをしてるのをみると
大人になっちゃったんだなって勝手に寂しくなる。
私は今だに偉大なアーティストになる夢を見てるし
お父さんとお風呂に入りたいし、
悲しいことがあったら大声で泣きたいし
寝る前に歯を磨きたくない。
それでもきっと、私もいつか流されて、
大人らしくなる時がくるだろう。
私は、それが嫌で嫌でしょうがない。
本当は、いつまでも寿司はサビ抜きで許されたいのに。